先日5/27(土)と5/28(日)は舞台挨拶が行われ、たくさんのお客様にお越しいただきました。客席からの質問と出演者の皆様の回答でさらに組踊への理解が深まる再びレポートをまとめてみました!
鈴木耕太氏✖️監督宮平トークセッション
5/27は、沖縄県立芸術大学准教授の鈴木耕太氏を招いてのトークセッションが行われました。ちょうど大学の同期でもあった組踊研究者のひとり鈴木耕太氏の活躍は新聞の掲載などでももちろん存じてました。
今回ゲストトークをお願いした直接のきっかけは、共通の知人の運営する保育園の園児さんの組踊「ももたろう」に心掴まれたこと!本格的な琉球古語で「ももたろう」を演じる姿に心を鷲掴みにされ、台本ももちろん指導なども鈴木氏が行なっていたのです。研究の成果である新著を出版したばかりでもあり、舞台挨拶では、組踊独特のストーリーテリングの根底にあるのは儒教思想ということなどが話されました。
また鈴木氏の新著では、組踊の誕生の謎についてもせまっているとのこと。舞台挨拶では組踊の制作を命じた尚敬王を支えていた蔡温の存在にもふれて、研究者の立場からディープな組踊のお話が伺えてよかったです。私自身まだまだ知らないことが多いので是非手に取って読んでみたいと思いました。
本の詳細はこちら→「組踊の歴史と研究: 組踊本の校合からみえるもの (琉球弧叢書)」
写真は宮平が新報の女性サロンで講和したとき(おそらく2010年とか?)から見守って下さったお客様とのショット。
なんとシネマパレットでの「シネマ 孝行の巻」は2回目の鑑賞だそう。気軽に何回も足を運べるのは映画ならではの魅力ですね。
私も沖縄国際大学卒業生なのですが鈴木氏も同期でもあり、そのつながりで卒業生の集まりである校友会の友利会長も来てくださっておりました。友利会長は、なんとこれが三度目の鑑賞となります。(映画祭、沖縄国際大学主催の学生向けの上映イベント、そして今回です。)「やはり映画館でみるのは別格」という言葉をいただきました。
また、ご紹介があり恩納村から映画をみるために那覇を訪ねて下さった観光のお客様も!古典芸能のファンでもあるお二人は、このあと国立劇場おきなわでさらに勉強、同日行われていた三線の催しをみて、古典芸能三昧を楽しまれたと伺いました。このような古典芸能への誘いになったことが、本当に嬉しいです。
5/28(日)は金城真次氏(弟役)、棚原健太氏(地謡/歌三線)、下地心一郎氏(大蛇後見)を招いての舞台挨拶が行われました
琉球舞踊を始めたきっかけなどについて
金城氏:もう1〜2歳の頃から好きだった記憶はあり、教室に通ったのは確か4歳ごろ。9つの年上の姉が舞踊の教室に習っており、それについて習う形に谷田嘉子、金城美枝子両氏に師事しました。組踊の舞台に立ったのは高校生の時で、「万歳敵討」でした。
棚原氏:中学3年のとき、三線が得意な親友がいて、当時学校でエイサーをやる時に、生演奏でやってみては、と担任の提案があり、親友にお前もやらないか、と誘われて、のめり込みました。その頃はサッカー部だったのでそれ以外の時間はずっと三線を練習していました。高3のときに大きな怪我をしてサッカーができなくなり途方に暮れていたなかで、沖縄県立芸術大学で三線が学べると知り、この道にすすみ比嘉康春師匠との出会いがありました。
下地氏:3歳頃、姉が習っていたというのが大きく、琉球舞踊を始めましたが、宮古島の出身なので組踊は全然知らず・・・沖縄県立芸術大学に入ってから組踊をしっかり学びました。
「シネマ組踊 孝行の巻」のオファーが来た時の反応は
金城氏:「孝行の巻」は大好きな作品なので、特に唱えが好きで。覚えようと思わなくても言葉が入ってくる感じであり。でも、「孝行の巻」は小さい頃あまり上演されることが少ない作品だった。テーマが重い歌だったりするので敬遠されがちな演目という感じではありましたが、個人的的には大好きな作品なので、ハイハイ!と二つ返事で引き受けました。
棚原氏:「孝行の巻」は組踊にあまり使われない楽曲が多いのですが、やりがいはあり、出演が決まってから一生懸命稽古しました。
下地氏:大蛇後見は国立劇場おきなわの公演で経験がありましたが、今回は映画なので、蛇の操作を、どんな風にしたら魅力的にみせられるのかな、と同じ大蛇後見の先輩である平田さんとともに工夫しました。
撮影の思い出
金城氏:日を分けての撮影が難しかった。からじ(頭髪)を結ったときの形なども前日と違ってはいけない、ととても気にしました。ただ、(演じる部分では)映画だから特別にこうしようというのはなく、舞台に挑む時と同じ気持ちで行いました。ただ映像を見ると、こうすればよかった、というのがありもう一度とりたいですね(笑)。しかし60分という時間のなかで非常に中身の濃い作品になっている。(様々な視点からカメラが捉えるのは)普段とは違う経験でもあり、訓練になりました。撮影では、(通しでやらない部分の撮影の際に)気持ちをどう乗せるかという、コントロールがとても難しかった。
棚原氏:演奏する前に前日録音した通しのものを聞いて同じように演奏するというのは、とても気をつかいました。私たち地謡は普段紅型幕という幕の中で演奏することが多いので客席からは演奏する姿は見えないのですが撮影ではその紅型幕の中にもカメラが入ってきて、とても特別な経験でした。
金城氏:彼は、毎日絶好調でした!(一同笑)
下地氏:蛇が、意外と、重いので、登場シーンを撮影のたびに舞台に運ぶのは大変でした!
大野プロデューサーより大蛇シーンでの忘れられないハプニングの紹介のあと「後見」の役割について説明がありました。
大野プロデューサー:後見というのは、舞台をサポートする重要な役です。若手が担う場合が多いですが、組踊にはなくてはならない存在です。下地氏は大蛇のほかに高札を片付ける役としても後見の役割を担当していただきました。
また、この日も、会場から秀逸な質問が飛び出しました。
舞踊と組踊との違いがあるのでしょうか?
金城氏:組踊は琉球舞踊の基礎があってこそのものですが、琉球舞踊のように踊りだけで表現するものではなくて
例えば水があると(ペットボトルを取り出し)取る仕草も琉球舞踊の場合は、女性ならこう、男性ならこうして取る、などのある一定のルールがあるわけですが、組踊の場合は、「最低限の所作でどこまでいけるか」というところが難しいところでもあります。
棚原氏:組踊の音楽は既存の琉球古典音楽が使われていますが組踊で演奏される時っていうのはいくつか特徴があってまず古典音楽って普通は歌持ちと呼ばれる前奏があってから歌が始まりますが組踊は劇中音楽なので歌からスタートする特徴があります。「仮名がけ」と呼ばれてますが立方さんの最後のセリフにあわせて歌がじんわりはいってくる技法などもします。歌の終わりも、歌詞も劇中に即した歌詞で歌っていくというのが特徴かなと思います。気持ち的なものも、ストーリーの中ではテンポ感も違うので、そこも琉球舞踊とは、ちがう部分です。
セリフはどのようにして覚えているのでしょうか?
金城氏:「孝行の巻」に関していえば、先に申したように覚えようとしないこと、ですね。普段から沖縄の歌だとか琉歌だとか、8886のリズムを体のなかに入れることがとても大事です。それをすると自然にセリフが入ってくる感じがします。
棚原氏:家で稽古するときは反復はします。面白いのは、一人で稽古するときには間違ったりしても、みんなで稽古のときは物語の進行とともに自然にできてたりします。
下地氏:資料映像などから音を聞いて覚えるというのが自分は多いです。間の取り方だったり、抑揚だったりも含めてしっかり覚えたいので繰り返し聞いたりします
大野プロデューサー:国立劇場おきなわができてからは、アーカイブ映像などもみることができるようになりましたから大きいですよね。
この日もお客様の質問のおかげもあり、貴重な組踊トークを伺えました。
沖縄シネマパレットの公開が6/8(木)まで延長となりました!
そして、昨日、劇場側より嬉しいお知らせが届きました。1週間の上映延長の提案があり、決定しました!
これも劇場に足を運んで下さった皆様のおかげです。
最終日6月8日まで、一人でも多くの方に映画が届きますことを願っております。
映画『シネマ組踊 孝行の巻』全国で公開中!
沖縄国際映画祭ワールドプレミア特別招待作品
映文連アワード2022優秀企画賞受賞
文部科学省選定映画
5/19~6/8那覇シネマパレット
5/26~6/8宇都宮ヒカリ座
6/16~29本厚木あつぎのえいがかんkiki
7/29~8/2キノシネマ天神 ※31は休映
時期未定 横川シネマ(広島)
全国共通鑑賞券発売中
https://kukuruvision.com/cinema_kumiodori_koko/
【予告編 映像】
https://www.youtube.com/watch?v=6V8PIXKICM0
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