祝「シネマ組踊 孝行の巻」凱旋上映!立方(演者)さんも登壇!舞台挨拶レポート

先週末5月19日〜5月21日かけてシネマパレットさんで凱旋上映がスタートした「シネマ組踊 孝行の巻」。3日連続の舞台挨拶には多くの観客が駆けつけてくださりました、ありがとうございます。立方演者さんを交えての舞台挨拶が行われましたのでレポートします。

5/19(金)宮平貴子監督舞台挨拶はお客さんがスペシャルだった?!

監督宮平は、東京での盛り上がり、続々と公開館が増えていることー、組踊を知ることで、自分の中のミッシングパートであったウチナーンチュのアイデンティティが満たされた気がしたこと、映画制作の舞台裏ー3日間にわけて撮影されたこと、カメラマンさんの工夫とセッティング、演者さんたちの大変だったこと、音声さんの工夫、編集の際に気に掛けたこと、などメイキング部分をたっぷり語ることができました。
 
時間に余裕があったので、会場からの質問をつのったところ、ある女性が手を挙げてくださいました。映画が始まる前、「ポスターを一目見て魂を掴まれてきました〜」とギリギリセーフで上映時間に間に合った方がいたのです。
いわく、お祈りを普段からされている方で(もしかしたらユタさんかノロさんだったのでしょうか)なんと前世の記憶が蘇られたとか、、
 
別の男性は、先月まで沖縄にいた香港の友人に頼まれて「彼の代わりに見にきました」とおっしゃるではないですか。なんだかとても貴重な友情を感じますよね。
 
また別の女性は少し時間に遅れてきてしまったのですが、次の日京都に帰るのでどうしても見たい!ということで唱えの美しさに心うばわれたようでした。
 
そして最後に手を挙げた小学生は、、「こんにちわ!」と元気よく挨拶してくれて(笑)とても和やかな雰囲気で終わりました。
 
 
「字幕と、地謡の歌の長さが違う」と気づきをシェアしてくれました!
こっちまで嬉しくなるにっこり笑顔
 
「香港の友人に頼まれて来ましたが正直彼ほど詳しくないので
不安もありましたが字幕もあってわかりやすくて良かったです」と話してくださったT氏!
さらなる友情が深まることを願っています!
 
 

5/20(土)は先日の舞台「孝行の巻」でも姉役を務めた 田口博章氏(姉役)、嘉数幸雅氏(供役),砂川博仁氏(供役) の舞台挨拶が行われました。

供役として出演した砂川博仁さんは、撮影ならではの戸惑いもあり、唱えの高さをあわせるために、前日のものを確認しながらやっている先輩たちの姿をみて通常の舞台との違いを実感したそうです。
 

同じく供役で出演した嘉数幸雅さんは、今日で二度目の映画鑑賞とのこと。「出演している側としても、普段と違う角度から舞台をみることができるのは、とても面白い」と改めて感じたそうです。「組踊はまだまだ認知度が高いものではないため、映画をきっかけに舞台の方にも足を運んでいただきたいと思います。」

Q&Aでは、客席から田口博章氏へ質問がありました。
どうやって女性の声を出すのでしょうか?」の質問に田口さんは・・・
 
どちらかというと、歌舞伎のように女形が裏声をだすというよりは、能に近く、声をしぼることで、若い女性か年齢が上の方、若衆など、絞り方などを工夫して行なっております。また、組踊は女性になりきるというよりも「男性がやっている女性役として、舞台からどう美しくみせるか」ということを研究しています。」
 
 
「みなさん沖縄県立芸術大学の学生さんですか?」という問いには偶然今回はお三方とも県立芸大ご出身(砂川さんは在学中)でした。また、もし組踊を学びたい!と思ったら、沖縄ではどのようなケースがあるか、大野プロデューサーより解説がありました。主に、以下の方法があるとのこと。
 

 

田口さんご自身は5つの時から祖父母の影響で学ばれたようですが、当初は反対だったというご両親も今では自慢の一つになっているようです。映画のこともとても喜ばれていると知って大野プロデューサーもほっとした表情でした。

5月21日(日)は、嘉数道彦氏(時之大屋子役)が登壇!

嘉数さんといえば私宮平にとってはなんというか「組踊の伝道師」。伝統芸能を知らない私でも嘉数さんの活躍は耳にしており、創作組踊の評判なども聞いており、本当にこれかも活躍が楽しみな方です。

さっそく嘉数氏と組踊の出会いについて大野プロデューサーより質問スタート。すると、意外や意外・・・

嘉数氏の家族は誰も伝統芸能をやっている人がいなかったそうですが、祖母の影響で沖縄芝居がとても大好きだったそうです。それなら、ということで小さい頃に琉球舞踊の教室に入門したそうです。宮城能造先生が健在のころだったそうで、初めての組踊は銘苅子の子役だったとか。その時はとても難しかった記憶があり、組踊に対して苦手意識があったそうですが、県立芸大に入って授業を受けてその面白さに開眼したそうです。「でも、ウチナー芝居科があったらそこに進んでたかもしれない」とも(笑)「もしも」そうなっていたら・・・嘉数さんが創作した数々の組踊も・・・と思うと、ドキーっとしてしまいますね。

Q&Aコーナーでは「組踊では感情を表してはいけないという決まりはありますか?」という質問に対して、嘉数さんの回答が印象的でした。

“組踊では感情を音楽で表現するので、立方は”顔芸”にならないよう最小限の表現で最大の効果を目指します”

また映画ならではの苦労については、とくに、唱えの音程を1日目のものと同じにすること、また、メイクも同じようにしないといけないこと、メイクだけでなく嘉数さん演じる時之大屋子(占い師)の場合、小道具の「サングァー」には特に困ったとか。

時之大屋子が祈祷の時に手に持っているのがサングァー↓

通常のお芝居の際は、1日限りなので、野外で野草を原っぱで引っこ抜いて結んでもってくるらしいのですが、3日間続く撮影で、枯れてしまったりすれば、違うものにみえたりして映画が台無しになってしまう…嘉数さんは心配した末に、友人に頼みこみ、劇場で使用する「小道具」として作っていただいたそうです。

改めて出演者の皆さんから学ぶことの多いQ&Aでした。

         

映画館の担当者と嘉数道彦氏は、同じ高校(那覇高校)出身で、実は宮平も那覇高校出身。ということでパチリ。

ちなみに、嘉数道彦さんがきているウェアは組踊をモチーフにした沖縄を代表するブランドHIGAの組踊をモチーフにしたシリーズ。似合ってますね!

地元ならではだから実現できた舞台挨拶・・・演じる立場の皆さんからのお話しはとても興味深いものがあり、なんとも贅沢なひとときでした。

舞台挨拶は、以下の日程でも行われます。27日は監督宮平と鈴木耕太氏を招いてのトークセッションを行います。実は先日とある保育園の発表会で、こどもたちが組踊を演じる姿に感動したのです。その組踊を指導されたのが鈴木氏でもありました。個人的には組踊のストーリーテリングの特徴について、聞いてみたい!と思っています。

舞台挨拶は以下の日程でも行われます。

5/27(土)10:30の回上映終了後 

宮平貴子監督 ゲスト:鈴木耕太氏(沖縄県立芸術大学准教授)

5/28(日)10:30の回上映終了後

金城真次氏(弟役) 棚原健太氏(地謡) 下地心一郎氏(大蛇後見) 進行:大野順美プロデューサー

さて、「シネマ組踊 孝行の巻」凱旋上映は6月1日まで!本作は現在のところDVD化の予定はありません。

ぜひ、映画館の大迫力で見ることのできるこの機会に何度でも足を運んで、ご鑑賞ください。

映画『シネマ組踊 孝行の巻』全国で公開中!

沖縄国際映画祭ワールドプレミア特別招待作品
映文連アワード2022優秀企画賞受賞
文部科学省選定映画
5/13~26大阪シネ・ヌーヴォ
5/19~6/1那覇シネマパレット
5/19~25佐賀シアターエンヤ
5/26~6/8宇都宮ヒカリ座
6/16~29本厚木あつぎのえいがかんkiki
7/29~8/2キノシネマ天神 ※31は休映
全国共通鑑賞券発売中
https://kukuruvision.com/cinema_kumiodori_koko/
【予告編 映像】
https://www.youtube.com/watch?v=6V8PIXKICM0

 

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